
今回は「ラゲブリオ錠」のお話です
4コマ漫画では、カロがラゲブリオカプセルを大量発注した翌日に「ラゲブリオ錠」発売のニュースを見て落ち込む…という、**薬局あるあるな“タイミングの悲劇”**を描きました。
薬剤の剤形追加は、患者にとっても薬剤師にとっても大きな変化。特に今回のように「飲みやすくなった」ケースでは、服薬指導にも影響が出てきます。
ラゲブリオ錠(モルヌピラビル錠400mg)とは?
- 販売開始日:2025年5月21日
- 販売会社:MSD株式会社
- 有効成分:モルヌピラビル 400mg(1錠中)
- 用法用量:通常18歳以上の患者には1回800mg(=本剤2錠)を1日2回、5日間経口投与
- 適応症:SARS-CoV-2による感染症(COVID-19)
- 禁忌:妊婦(動物実験において胎児毒性あり)
漫画の補足:カプセル→錠剤の何が変わった?
項目 | 変更点 |
---|---|
剤形 | カプセル(200mg) → 錠剤(400mg) |
服用数 | 1回4カプセル → 1回2錠に半減 |
錠剤の大きさ | 小型化 カプセル約21.7mm×7.7mm →錠剤約13.4mm×8.2mm |
飲みやすさ | 改善され、嚥下困難者への配慮にも期待 |
割線 | なし(錠剤ではあるが割って使うことは不可) |
実務上の注意点は?
- ラゲブリオ錠とカプセルは併売中
→ 処方チェック時に「錠orカプセル」の確認を忘れずに。 - 在庫調整に注意
→ 特に大容量でカプセルを持っている薬局は、患者の希望に応じて供給バランスを見極める必要あり。
漫画に入りきらなかった補足ネタ
- リスク分類:妊婦禁忌は継続(妊娠可能年齢の女性には説明+確認を)
- 相互作用:CYP阻害作用が少なく、他薬との相互作用がほぼない点は、パキロビットなどと大きく異なる。
📋 COVID-19経口治療薬の比較
現在、日本で承認されているCOVID-19経口治療薬には、ラゲブリオ(モルヌピラビル)、パキロビッド(ニルマトレルビル+リトナビル)、**ゾコーバ(エンシトレルビル)**の3種類があります。
それぞれの薬剤は、作用機序・相互作用・用量調整・服薬スケジュールなどに違いがあり、処方提案や服薬指導の際には個別の確認が重要です。
以下の表に、各薬剤の基本情報を比較しました。
🦠 COVID-19経口治療薬 比較表(2025年6月時点)
製品名(一般名) | 適応症 | 用法・用量 | 主な注意点 |
---|---|---|---|
ラゲブリオ錠400mg (モルヌピラビル) | SARS-CoV-2による感染症 | 通常、18歳以上の患者には、モルヌピラビルとして1回800mgを1日2回、5日間経口投与する。 | – 妊婦禁忌(胎児毒性のリスク) – 相互作用が少なく、併用薬の制限が少ない |
パキロビッドパック600/300 (ニルマトレルビル+リトナビル) | SARS-CoV-2による感染症 | 通常、成人および12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、ニルマトレルビル300mg(2錠)+リトナビル100mg(1錠)を1日2回、5日間経口投与する。 腎機能により用量調整あり。 | – CYP3A4阻害による併用禁忌薬が多い – 腎機能により用量調整が必要(CrCl 30〜60mL/minで半量、30mL/min未満は禁忌) – 錠剤の粉砕や分包は不可 |
ゾコーバ錠125mg (エンシトレルビル フマル酸) | SARS-CoV-2による感染症 | 通常、12歳以上の小児および成人には、1日目は375mg(3錠)、2日目から5日目は125mg(1錠)を1日1回経口投与する。 | – CYP3A阻害作用があり、併用薬に注意 ‐ 粉砕についてメーカーからは推奨しないとあり – 服薬スケジュール(初日3錠、以降1錠)を誤らないよう指導が必要 |
結びに
今回は、ラゲブリオの「剤形追加」がテーマでした。
コロナ治療薬という性質上、情報のアップデートが早い分、現場ではこうした“ズレ”も起きがちです。
薬剤師としては、タイミングと情報収集の感度がますます問われる時代ですね。
次回も、ちょっと笑えてちょっと学べる4コマをお届けします!
免責事項
本記事は、一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断や治療を推奨するものではありません。
記事中で取り上げている薬剤情報は、信頼できる資料に基づいて正確に記載していますが、漫画内の会話やエピソードはフィクションであり、実際の医療現場の状況とは異なる場合があります。
実際の診療にあたっては、必ず医師や薬剤師等の専門家にご相談いただき、最新の添付文書等をご確認ください。
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