ネクセトール(ペムペド酸)服薬指導のポイント!

お薬小ネタ漫画

今回のは、2025年11月に発売されたばかりの新薬、ネクセトール錠を解説します。

「ビールみたいな薬」という覚え方はインパクト大ですが、実務においては「家族性高コレステロール血症」への適応や、新薬特有の処方日数制限など、プロとして押さえるべき落とし穴がいくつかあります。

基本情報


一般名:ベムペド酸(Bempedoic acid)

禁忌:本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
   妊婦又は妊娠している可能性のある女性

効能効果:高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症(HMG-CoA還元酵素阻害剤で効果不十分、又は治療に不適な場合に限る)

用法・用量:1日1回180mg(食事の有無に関わらず服用可能)

保険制限:新医薬品のため、**2026年11月末まで「1回14日分

ネクセトールの作用機序

ネクセトール(ベムペド酸)は、肝臓で活性化され、コレステロール合成経路の上流にある酵素(ATPクエン酸リアーゼ)を阻害するプロドラッグです。

1. 活性化:肝臓でだけオンになる仕組み

ネクセトール(ベムペド酸)自体は作用を示さないプロドラッグです。肝細胞の中にあるACSVL1(極長鎖脂肪酸CoA合成酵素1)という酵素によってCoAが結合され、「ベムペドイルCoA」という活性のある形に変わります。

ACSVL1は、普段は体内で炭素数の長い脂肪酸(極長鎖脂肪酸)を活性化する役割を持つ酵素です。この酵素は肝臓には豊富ですが、骨格筋にはほとんどありません。そのため、ネクセトールは主に肝臓でのみ活性化され、筋肉では活性化されにくいという特徴があります。

2. 標的:コレステロール合成の「上流」を阻害

活性化したベムペドイルCoAは、コレステロールを作るための一連の反応経路(コレステロール合成経路)の中で、**ATPクエン酸リアーゼ(ACL)**という酵素を阻害します。

ACLは、クエン酸からアセチルCoAを作る段階で働く酵素です。ここを止めることで、その後のコレステロール合成に必要な原料の供給が減ってしまいます。

  • スタチンとの違い:スタチンは「HMG-CoA還元酵素」を阻害する薬ですが、ネクセトールはそのさらに上流(合成経路の入口に近い方)にある「ACL」を阻害するという違いがあります。

3. LDLコレステロールが低下する流れ

  1. 肝臓でACLが阻害されることで、肝細胞内で作られるコレステロールの量が減ります
  2. すると、肝細胞は「コレステロールが足りない!」と判断し、血液中のコレステロールを取り込もうとします。
  3. そのために、肝細胞の表面にあるLDL受容体(LDL-R)の数が増えます
  4. 増えたLDL受容体が血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を積極的に取り込むため、結果として血液中のLDLコレステロール値が下がります

特徴的なポイント

  • 筋肉への影響が少ない:ネクセトールは肝臓でのみ活性化され、筋肉では活性化されにくいという性質から、スタチンで見られるような筋障害(筋肉痛など)のリスクが比較的低いと考えられています。
  • 尿酸値への影響:ネクセトールは、尿酸を体外に排出する輸送体(OAT2)を阻害する作用があるため、副作用として高尿酸血症が起こりやすくなるとされています。そのため、痛風や高尿酸血症の患者さんでは注意が必要です。
  • 女性患者さんへの重要な説明本剤は妊婦には禁忌です。動物実験で胎児への影響が報告されているため、注意しましょう。最終投与後1週間は避妊する必要性があります。

5. 患者背景別の注意点(まとめ)

対象患者注意点とリスク
痛風・高尿酸血症既往尿酸排泄阻害により症状悪化・発作のリスク。観察必須。
重度腎機能障害中等度以上でAUCが1.76〜1.90倍に上昇。慎重投与。
重度肝機能障害Child-Pugh Cの患者は試験未実施のため注意。
妊娠・授乳中禁忌。 授乳も回避が望ましい(乳汁移行の報告あり)。

免責事項

本記事は、一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断や治療を推奨するものではありません。
記事中で取り上げている薬剤情報は、信頼できる資料に基づいて正確に記載していますが、
漫画内の会話やエピソードはフィクションであり、実際の医療現場の状況とは異なる場合があります。
実際の診療にあたっては、必ず医師や薬剤師等の専門家にご相談いただき、最新の添付文書等をご確認ください。
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