トリンテリックスとセロトニン軍団

お薬小ネタ漫画

今回はトリンテリックス錠の紹介です!

今回の4コマ漫画では、SSRIとはひと味違う「セロトニン使い」こと**トリンテリックス(ボルチオキセチン)**をテーマに描きました。

新人薬剤師の妄想がちょっと暴走しましたが…
トリンテリックスが再取り込みも受容体も“多角的に操る”薬であることが、なんとなく伝わったのではないでしょうか?


トリンテリックス錠とは?

■ 一般名

ボルチオキセチン臭化水素酸塩

■ 適応症

うつ病・うつ状態

■ 用法・用量(成人)

通常、1日1回10mgから開始。必要に応じて20mgまで増量可能(1週間以上の間隔をあけること)。

※CYP2D6阻害薬併用時や代謝が遅い体質の患者は最大10mg/日まで

■ 禁忌

  • モノアミン酸化酵素阻害薬(MAOI)投与中、または中止後14日以内の患者
  • 本剤の成分に過敏症の既往歴がある患者

漫画の補足:「セロトニン使い」って?

トリンテリックスは、SSRIのように
セロトニン再取り込みを阻害するだけでなく、
複数のセロトニン受容体
(5-HT₁A・₁B・₃・₇など)にも作用する
「マルチモーダル抗うつ薬」です。

  • 5-HT₁A:アゴニスト(不安抑制)
  • 5-HT₁B:部分アゴニスト(調整作用)
  • 5-HT1D・₃・₇:アンタゴニスト(吐き気や認知機能への影響)

こうした多彩な作用が「操ってる」ような印象につながり、“セロトニン軍団を指揮する”
というイメージにぴったりだったわけです!


実務で押さえておきたいポイント

■ 副作用プロファイルはマイルド

  • 吐き気・悪心などの消化器症状はあるが、SSRIより少なめ。
  • 性機能障害のリスクが低いことも特徴(比較試験あり)。
  • 鎮静作用はあまり強くないため、眠気は少なめ。

■ 製剤特性

  • 割線ありのフィルムコーティング錠
  • 用量調整のために5mg(半錠)スタートも現場では活用される

■ 服薬指導の工夫

  • 効果発現まで時間がかかる → 「2週間は続けて様子を見ましょう」
  • 飲み忘れ・中止による再燃防止 → 「自己判断で中止しないでください」
  • 飲酒注意 → 「眠気やめまいが強まる可能性があります」

現場で役立つ+αの視点

  • **感情の平板化(エモーションブロック)**が起きにくいという報告もあり、SSRIからのスイッチ候補として注目。
  • 高齢者では低ナトリウム血症に注意(SIADHのリスクあり)
  • 海外ガイドラインでは認知機能改善への効果が示唆されており、将来的な活用幅が期待されている薬剤です。

結びのひとこと

今回は「セロトニン軍団」というやや(?)暴走した表現でトリンテリックスをご紹介しましたが、
その多角的な作用機序とマイルドな副作用プロファイルは、選択肢の一つとして現場でも検討しやすい存在です。

次回の4コマもお楽しみに!
リクエストがあればぜひコメントでお知らせください。



免責事項

本記事は、一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断や治療を推奨するものではありません。
記事中で取り上げている薬剤情報は、信頼できる資料に基づいて正確に記載していますが、
漫画内の会話やエピソードはフィクションであり、実際の医療現場の状況とは異なる場合があります。
実際の診療にあたっては、必ず医師や薬剤師等の専門家にご相談いただき、最新の添付文書等をご確認ください
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