



水疱瘡5年ぶりの高水準!
2021年以降低水準で推移していた国内の水痘報告数が、2025年第24週時点(6月18日)で、過去五年間の同時期と比較し最多となっています。(感染症情報提供サイトより)
さらに現在カチリが出荷調整中!今回は、実際に現場で起きた出荷調整や処方の現状、
そして薬剤師としての対応について、4コマ漫画にまとめました。
💊 カチリとは?水疱瘡に出る理由
カチリ(フェノール・亜鉛華リニメント)は、
水痘の皮膚症状に対する対症療法として古くから使われてきた外用剤です。
- 酸化亜鉛:収れん作用 → 水疱の乾燥を促す
- フェノール:防腐・痒み軽減作用
- トラガント等:塗布後に膜を形成して皮膚を保護
これにより、掻き壊し防止や痒みの軽減、二次感染(とびひ)予防が期待されています。
📌 添付文書情報より
効能又は効果
- 皮膚そう痒症、汗疹、じん麻疹、小児ストロフルス、虫さされ
用法及び用量
通常、1日1~数回、適量を患部に塗布する。
なお、症状により適宜増減する。
禁忌(してはいけないこと)
び爛・潰瘍・結痂・損傷皮膚及び粘膜には使用しないこと。
[フェノールが吸収され中毒症状を起こすおそれがある。]
👉 水痘の後期(かさぶた形成後)や掻き壊してジュクジュクしている部位には不適!
この点を指導の際にしっかり伝えることが重要です。
⚖ 賛否が分かれる!“塗る派”と“塗らない派”の主張
最近では「水疱瘡にはカチリ!」に反対する意見もあるようです。
ただし「今日の治療指針」や「感染症情報提供サイト」には通常の治療としてカチリが記載されています。
🟨 塗る派(カチリ賛成)
- 水疱を乾かし、かさぶた化を早める
- 掻き壊しを防ぐ物理的バリアになる
- 昔から使われており、保護者も馴染みがある
- とびひ予防に一定の効果ありと考える小児科も多い
🟦 塗らない派(慎重派)
- 乾かしすぎると逆に傷あとが残ることも
- 痒みには抗ヒスタミン内服+保湿で代替できる
- 科学的根拠が乏しく、エビデンスは限定的
- 現在の創傷治療では「乾かさずに治す」方針が主流
🧑⚕️ 薬剤師としての対応ポイント
1. 処方せん内容の確認
「カチリ」=リニメント剤
→ 誤って「亜鉛華単軟膏(軟膏基剤)」が出ていないか確認!
2. 使い方の指導(処方された場合)
- 綿棒などでちょんちょんと塗る(こすらない)
- 発疹が乾いてかさぶたになったら終了
- ジュクジュクしている部位には塗らない(禁忌)
- 服が汚れやすいので、乾くまで待ってから服を着せる
3. 保護者からの質問対応例
「カチリは絶対ではありません。痒みがひどいときにだけ、必要な部分にだけ使うのがポイントです」
「先生によって考え方が違う薬です。薬がなくても、保湿や抗ヒスタミンで乗り切れることもありますよ」
🚨 出荷調整中の注意点
現在、地域によってはカチリが出荷調整中で入荷困難になっています。
そのため、以下のような対応が現実的です。
- 処方医に疑義照会し、最小限の処方に調整依頼
- 必要な分だけ調剤し、在庫が足りない場合は代替手段を提案(ワセリン+抗ヒスなど)
- 他店舗と情報共有し、在庫確保・供給調整に努める
✍ まとめ
水疱瘡にカチリを使うかどうかは、
いまや「全員に塗る」が常識という時代ではありません。
処方されたら正しく使い、処方がなければ焦らず代替策を。
そして在庫が限られる今、薬剤師としては「必要最小限の処方」と「丁寧な説明」が求められます。
4コマ漫画のように、現場は大忙しですが…
子どもの肌とお母さんの安心感の両方を守る立場として、
私たち薬剤師も“ちょっと踏み込んだひと声”を届けていきたいですね!
免責事項
本記事は、一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断や治療を推奨するものではありません。
記事中で取り上げている薬剤情報は、信頼できる資料に基づいて正確に記載していますが、
漫画内の会話やエピソードはフィクションであり、実際の医療現場の状況とは異なる場合があります。
実際の診療にあたっては、必ず医師や薬剤師等の専門家にご相談いただき、最新の添付文書等をご確認ください。
本記事の内容に基づく自己判断による治療や投薬等によって生じた損害について、当サイトは一切の責任を負いかねます。
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