



アリドネパッチ、日差しにご用心!?【4コマで学ぶ経皮吸収型認知症治療薬】
今回はアリドネパッチにまつわるワンシーンをご紹介しました。
パッチを貼った腕に日差しが当たってしまった患者さんが、翌日しっかりと反省して薬局に戻ってくるという、ちょっと笑えるけど大切な注意点を描いた4コマです。
🔍 アリドネパッチってどんな薬?
- 一般名:ドネペジル塩酸塩経皮吸収型製剤
- 適応症:アルツハイマー型認知症(軽度〜高度)
- 用法・用量:原則1日1回、皮膚に貼付。経口剤の5mg→パッチ27.5mg相当、10mg→55mg相当。
- 禁忌:本剤の成分またはピぺリジン誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者 など
☀ 日光注意ってどういうこと?
アリドネパッチは、薬を貼った部位に紫外線が当たると光接触性皮膚炎を起こす可能性があるため、
貼付中および剥がした後もしばらくの間(3週間)は紫外線を避けるように注意が必要です。
これ、意外と患者さんに伝わっていないポイントなんですよね。
とくに暖かい季節には、半袖や散歩・日光浴で肌が露出しやすいため注意が必要です。
※色の濃い長そでで隠れていれば一般的な日光浴は問題ありません。
💬 現場での指導ポイント
- 「貼付中だけでなく、はがした後もしばらく日差しを避けましょう」
- 「服で覆われる位置に貼るのがおすすめです(二の腕、背中、胸など)」
- 「カイロや電気毛布など貼付部位を温めるのもNGです」
- 「貼付したままお風呂に入るのはOKですが、長風呂熱いお風呂などはNGです」
紫外線や高温によって、薬の吸収が亢進しすぎたり、皮膚に炎症が起きたりするリスクがあります。
💊 経口剤からの切り替え時の注意点
アリドネパッチは、ドネペジル錠剤と同一成分ですが、製剤設計が異なります。
- 経口剤5mg→パッチ27.5mg
- 経口剤10mg→パッチ55mg
へと翌日からスムーズに切り替え可能ですが、併用は不可です。
貼付に不慣れな患者さんや、貼り忘れ・貼りっぱなしによる過量リスクもあるため、介護者の協力も重要になります。
ただしアリドネパッチの適応はアルツハイマー型認知症のみであり、アリセプト錠では適応のあるレビー小体型認知症は適応外なことに注意してください。
🧠 他の認知症治療薬との違いは?
薬剤 | 主な成分 | 剤形 | 適応 | メモ |
---|---|---|---|---|
アリドネパッチ | ドネペジル | パッチ | 軽度~高度 | 貼付型。嚥下困難でも使用可 |
イクセロンパッチ/リバスタッチパッチ | リバスチグミン | パッチ | 軽度〜中等度 | 消化器症状が少なめ |
レミニール | ガランタミン | 経口 | 軽度〜中等度 | 朝夕2回服用。CYP2D6阻害薬注意 |
メマリー | メマンチン | 経口 | 中等度~高度 | NMDA受容体拮抗薬。併用可 |
📌 漫画に入りきらなかった補足ポイント
- アリドネパッチは27.5㎎で286.4円、同用量のアリセプト錠5㎎は76.1円、ジェネリックのドネペジル5㎎は28.5~48.3円とかなり価格差があります。コストを考えると内服できるうちは内服の方がいいかもしれません。アリセプトにはD錠、細粒、ゼリーといったほかの剤型もありますね。
- 皮膚刺激を避けるには、同じ部位ばかり避ける工夫が必要。同じ場所に貼るまでには7日開けてローテーションしてください。
- 剥がしたパッチは折りたたんで密封廃棄を指導することも忘れずに
✏ 編集後記
今回のテーマは、患者さんの“うっかり”から始まる光線過敏の注意でした。
「薬の説明はしたけど、そこまで理解していなかったみたい…」というケース、ありますよね。
漫画を通じて、実際の患者対応に活かしていただければ嬉しいです。
次回も、薬剤師さんに“クスッと学び”をお届けする4コマ漫画でお会いしましょう!
免責事項
本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断や治療を推奨するものではありません。
実際の診療にあたっては、必ず医師や薬剤師等の専門家にご相談いただき、最新の添付文書等をご確認ください。
記事中で取り上げている薬剤情報は、信頼できる資料に基づいて正確に記載していますが、
漫画内の会話やエピソードはフィクションであり、実際の医療現場の状況とは異なる場合があります。
本記事の内容に基づく自己判断による治療や投薬等によって生じた損害について、当サイトは一切の責任を負いかねます。
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