ウィークリー?アウィクリ注の特徴を抑えよう

お薬小ネタ漫画

今回は「アウィクリ注フレックスタッチ」の紹介です

今回の4コマ漫画では、新しい週1回投与型インスリン「アウィクリ」をテーマにしました。
とってもweeklyからきてそうな名前ですが、インタビューフォームには名前の由来は特になしとありました。
毎日のインスリン注射が大変だった患者さんが、週1回で済む新しい製剤に驚く場面から始まり、薬剤師が投与量や注意点を説明、最後にペンの薬液量にまつわる「勘違いオチ」で締めくくる流れになっています。


アウィクリ基本情報

  • 一般名:インスリン イコデク
  • 効能・効果:インスリン療法が適応となる糖尿病
  • 用法・用量
    週1回、皮下投与。通常初期は1回30~140単位、適宜増減
  • 禁忌
    • アウィクリ又は成分に対し過敏症の既往歴のある患者
    • 低血糖症状を呈している患者

漫画の補足解説

  1. 週1回投与
    世界初の「週1回投与型インスリン」です。毎日の注射が不要になり、患者負担軽減が期待されます。新医薬品のため、2025年11月末日までは、1回14日分の処方制限があります。
  2. 投与量は7倍、初回のみ1.5倍
    毎日型の基礎インスリンから切り替える場合は、週の合計投与量の約7倍を目安とします。初回のみさらに1.5倍投与が推奨されます。低血糖リスクのある場合個別に対応します。
    また単位の調節は10単位ずつです。
  3. 打ち忘れた場合の対応
    気づいた時点で投与し、その後4日以上間隔を空けて投与し、その時点を新たな投与日として毎週1回打ちます。ここが実務上の大事なポイントです。
    添付文書「投与を忘れた場合は、気づいた時点で直ちに投与し、次の投与は4日間以上の間隔をあけて開始すること。その後は、新たな開始日と同一曜日に週1回投与し、血糖モニタリングを十分に行うこと。」
  4. ペンの薬液量が少ない!?
    高濃度製剤(700単位/mL)であるため、300単位ペンはカートリッジの途中までしか薬液が入っていない仕様。患者さんから「これ空いてる?」と聞かれる場面が想定されます。薬剤師として、落ち着いて「高濃度製剤なので、元々この量しか入っていません」と説明できるよう準備しておきたいところです。
    単位を7倍しても1回で注射される薬液量が増えないようにという配慮ですね。

作用機序と特徴

  • インスリン受容体を介した血糖降下作用は従来と同じ。
  • 「脂肪酸修飾」によりアルブミン結合性を高め、持続的に放出されるよう設計されています。
  • 投与後2〜4日で低血糖リスクが高くなるため、患者指導ではこのタイミングを特に注意喚起する必要があります。

実務上の注意点

  • **高濃度製剤(700単位/mL)**であるため、他のインスリンとの取り違えに注意。
  • 保存条件:未開封は冷蔵保存、使用開始後は室温保存可
         遮光必須:キャップを閉め忘れないように
  • 使用期限:300単位と700単位の2種類の規格がありますが、
         300単位ペンは開封後6週間、700単位ペンは開封後12週間です。
  • インスリン調整は医師の判断で行われますが、薬剤師として「切替後は低血糖に注意」「投与間隔を守る」ことをフォローできると安心です。
  • 空打ちが10単位必要:使用前に必ず空打ち(1クリック=10単位)を行う仕様になっています。
  • 残薬確認:週1回製剤なので、残薬が出た場合は患者背景(転倒、低血糖、忘却)を推測するヒントになります。

まとめ

アウィクリは「週1回」という画期的な投与設計により、患者さんの負担軽減が期待される一方で、
投与量、投与間隔、残薬確認など、これまでにない注意点が多数あります。

薬剤師としては「新しい利点」と「特有の注意点」をバランスよく患者さんに伝え、安心して使用してもらえるように支援したいですね。


免責事項

本記事は、一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断や治療を推奨するものではありません。
記事中で取り上げている薬剤情報は、信頼できる資料に基づいて正確に記載していますが、
漫画内の会話やエピソードはフィクションであり、実際の医療現場の状況とは異なる場合があります。
実際の診療にあたっては、必ず医師や薬剤師等の専門家にご相談いただき、最新の添付文書等をご確認ください。
本記事の内容に基づく自己判断による治療や投薬等によって生じた損害について、当サイトは一切の責任を負いかねます。

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