



🔍 クラビットの基本情報
▷ 一般名
レボフロキサシン(Levofloxacin)
▷ 適応
表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、ざ瘡(化膿性炎症を伴うもの)、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、乳腺炎、肛門周囲膿瘍、咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(急性症、慢性症)、精巣上体炎(副睾丸炎)、尿道炎、子宮頸管炎、胆嚢炎、胆管炎、感染性腸炎、腸チフス、パラチフス、コレラ、バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、涙嚢炎、麦粒腫、瞼板腺炎、外耳炎、中耳炎、副鼻腔炎、化膿性唾液腺炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎、炭疽、ブルセラ症、ペスト、野兎病、肺結核及びその他の結核症、Q熱
▷ 用法・用量(成人)
通常、1日1回500mgを経口投与。腎機能に応じて減量。
腸チフス、パラチフスについては、レボフロキサシンとして1回500mgを1日1回14日間経口投与
腎機能クレアチニンクリアランス(CLcr)値(mL/min)用法及び用量
20≦CLcr<50:初日500mgを1回、2日目以降250mgを1日に1回投与する。
CLcr<20:初日500mgを1回、3日目以降250mgを2日に1回投与する。
▷ 禁忌
- 本剤の成分又はオフロキサシンに対し過敏症の既往歴のある患者
- 〈炭疽等の重篤な疾患以外〉妊婦又は妊娠している可能性のある女性、小児
🧪 多くのキノロン系はミネラルとキレート形成する
キノロン系抗菌薬(クラビット含む)は、金属カチオン(Ca²⁺、Mg²⁺、Fe³⁺、Al³⁺など)とキレート(錯体)を形成しやすく、吸収が低下します。
▷ どうして吸収が落ちる?
胃内でキレートができると、そのまま排泄されてしまい腸から吸収されなくなるため、血中濃度が低下します。
▷ 同時服用を避けるべき薬剤
- 鉄剤(フェロミアなど)
- 酸化マグネシウム
- アルミニウム含有制酸剤
- カルシウム製剤
❗ クラビットはCaとはキレートを作りにくい
ここが重要ポイント!
実はクラビット(レボフロキサシン)は、カルシウム(Ca)とは比較的キレートを形成しにくいことが知られています。
- クラビットとCaの併用による吸収低下は実務上ほとんど問題になりません
▷ 一方、鉄やアルミニウムとはがっつりキレート!
Fe、Alとの併用では吸収率が大きく低下するため、確実に2時間以上空ける指導が推奨されます。
金属カチオンとの相互作用については静岡県立総合病院様が「各種抗菌薬の金属カチオンとの相互作用と吸収低下割合」とまとめてくださっているものがわかりやすいです。
金属カチオン例
成分 | 製品例 | 備考 |
---|---|---|
Ca | カルタン、アスパラCA | 医薬品他、乳製品などにも注意 |
Mg | 酸化マグネシウム、マグミット | 便秘薬として常用されやすい |
Fe | フェロミア、インクレミンシロップ | 小児・妊婦の鉄欠乏に サプリメントにも注意 |
Al | アルサルミン、マーロックス | 胃薬として市販薬にも多い |
Ca放出製剤 | ビルタサ懸濁用 | 吸着後にCa²⁺を放出 → キレート注意 |
👀 ビルタサのように「Ca含有」ではなく「体内でCaを放出する薬」にも注意が必要です。
✅ まとめ:一律NGじゃない!薬剤ごとに確認を
NGとすべき? | 理由 |
---|---|
キノロン全般 | 吸収低下のリスクがあるため基本は避ける |
クラビット×Ca | リスクは低い |
クラビット×Fe/Mg/Al | 確実に時間をずらす or 避けるべき |
🗒️ 患者指導の際は、「キノロンだから全部NG」ではなく、個別の薬剤特性をふまえた説明が大切です。
特にカルシウムに関しては、**「モテない」**というクラビットの切なさも、有効活用してください。
免責事項
本記事は、一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断や治療を推奨するものではありません。
記事中で取り上げている薬剤情報は、信頼できる資料に基づいて正確に記載していますが、
漫画内の会話やエピソードはフィクションであり、実際の医療現場の状況とは異なる場合があります。
実際の診療にあたっては、必ず医師や薬剤師等の専門家にご相談いただき、最新の添付文書等をご確認ください。
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