伝統のあるメバロチン

お薬小ネタ漫画

✅ 今回は「メバロチン錠」の紹介です

昨日はスタチンの作用機序を紹介させていただきました。ストロングスタチンの処方が増える中、まだまだメバロチンの処方量はなかなか多い印象です。
実習生くんのうっかり発言に怒り心頭の(でも可愛い)メバロチンさんが登場!
「古い」なんて呼ばせない、“伝統ある相互作用に優しいスタチン”、その実力に迫ります。


■ 基本情報

項目内容
成分名プラバスタチンナトリウム
製品名メバロチン錠(第一三共)ほか
適応症高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症
用法・用量通常成人:10〜20mgを1日1回または2回に分けて
1日1回の場合は夕食後投与が望ましい
禁忌妊婦または妊娠している可能性のある女性、

■ 漫画の補足:なぜ「古い」けど使われるの?

実習生がうっかり「古い薬で…」と口にしてしまったメバロチン。
一番歴史あるスタチンですが、どの程度使われているのか具体的なデータで見ていきましょう。

📊 スタチン錠剤 処方数量ランキング(第9回NDBオープンデータより令和4年)

順位成分名主な製品名処方数量(概算)全体に占める割合
1位ロスバスタチンクレストール22億5342万錠43%
2位アトルバスタチンリピトール12億8207万錠24%
3位ピタバスタチンリバロ9億3198万錠17%
4位プラバスタチンメバロチン5億8398万錠11%
5位シンバスタチンリポバス1億755万錠2%
6位フルバスタチンローコール6368万錠1%


※配合剤含めた数量を集計
※NDBオープンデータ可視化ツールを使用


🔍 見えてくる現場の処方傾向

**ロスバスタチン(クレストール)**が頭ひとつ抜けて最多の処方量。安定した効果と使用実績が評価されている印象です。

**メバロチン(プラバスタチン)**は、ストロングスタチン全盛のなかでも根強い処方があり、相互作用の少なさが選ばれている可能性があります。
次にその理由を掘り下げていきます。


■ 実務に役立つ3つの特徴

① CYP3A4を介さない代謝

メバロチンは他の多くのスタチンと異なり、CYP3A4による代謝を受けません
そのため、

  • 抗真菌薬(イトラコナゾール)
  • 一部カルシウム拮抗薬(ジルチアゼム)
  • グレープフルーツジュース
    といったCYP3A4阻害因子との相互作用リスクが非常に低いという特長があります。

② 肝臓を中心とした代謝と胆汁排泄

  • 主に肝臓で代謝され、80%以上が胆汁中へ排泄されるため、腎機能が低下している患者にも使いやすい点が評価されています。
  • 血中半減期も約1.5時間と短く、持ち越しリスクも少ないです。

③ “筋”にやさしい? 水溶性スタチン

  • メバロチンは脂溶性ではなく水溶性スタチンであり、筋組織への移行性が少なく、筋障害(ミオパチー)リスクが比較的低いとされます。

■ 補足ネタ:こんな患者さんにおすすめされることも

シチュエーション理由
多剤併用の高齢者相互作用が少なく安全性が高いため
腎機能が気になる患者腎排泄が少ないため比較的安心
筋障害のリスクがある方水溶性で筋肉への移行が少ないため

■ 結びのひとこと

「ストロングスタチン全盛」の今だからこそ、あえて紹介したい“伝統の一錠”。
メバロチンは、派手さはないけど堅実で信頼されるタイプの薬剤です。
処方を見かけたら、ぜひ今回のポイントを思い出してみてくださいね!


🔍 次回もお楽しみに!

リクエストも大歓迎です✨


🛡 免責事項

本記事は、一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断や治療を推奨するものではありません。
記事中で取り上げている薬剤情報は、信頼できる資料に基づいて正確に記載していますが、
漫画内の会話やエピソードはフィクションであり、実際の医療現場の状況とは異なる場合があります。
実際の診療にあたっては、必ず医師や薬剤師等の専門家にご相談いただき、最新の添付文書等をご確認ください。
本記事の内容に基づく自己判断による治療や投薬等によって生じた損害について、当サイトは一切の責任を負いかねます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました