病気やけがで病院にかかると、直接お薬をもらうこともあるけれどほとんどの場合処方箋でもらうことになると思います。処方箋をもらったら薬局持ち込みます。薬局内でのお仕事を紹介します。
全体の流れ
①受付
②処方監査(しょほうかんさ)
③調剤
④服薬指導
⑤お会計
⑥薬歴(薬歴)の記入
以下順番に説明します
受付
病院の目の前にある薬局にもっていくことが多いかと思いますが、受付は全国どこの薬局でも大丈夫です。ただ日本で使えるお薬の種類は約3000成分、17000種類もあるので、代表的なお薬ならどこの薬局でもありますが、珍しいお薬だとお取り寄せになり時間がかかることもあります。またごく一部厳格な管理が必要なお薬に関しては取り扱う際に登録が必要なものもありますので、ご不明点があれば各薬局確認するのがいいでしょう。
受付の際にはお薬手帳、保険証を確認します。保険証の情報は病院でも確認し、処方箋に記載されているので前回と変更がなければ確認されないこともあります。
初回なら問診票を記入していただき確認を、2回目以降なら来局歴を薬局が確認し、体重やお薬の残薬、前回のお薬で問題がなかったかなどを確認させていただきます。
処方監査(しょほうかんさ)
受け付けた処方箋はまず処方監査をします。
処方箋に問題がないか確認する行為です。患者さんから聞いた症状と薬があっているか、体重や年齢と薬の量は問題ないか、一緒に飲んではいけない薬がないか、普段使っているサプリメントとの飲み合わせは問題ないか、アレルギー歴は問題ないか、もともとの疾患に対して使ってはいけない薬ではないか(腎臓が悪い人は使えない薬や肝臓が悪い人は使えない薬)など確認することは様々あります。
もし問題があれば処方医に確認してからでなくてはお薬を渡してはいけないことになっています。確認することを疑義照会(ぎぎしょうかい)といいます。
間違いといっても、病名と薬が違う(名前の似た別の薬と間違えている)、薬の量が違うといったリスクの高い間違えだけではありません。以下のようなものも疑義照会の対象です。
処方日が書いてない。処方医の印鑑や署名がない。などの形式的な問題
粉薬は苦手だから錠剤にしてほしかった。
飲み忘れでこのお薬は余ってたのに、処方日数減らしてもらうよう伝え忘れた(または伝えたのに先生が忘れて全部同じ日数で処方されている)
そのほか2024年現在では薬の流通が不安定なため、○○錠というお薬は出荷停止されており入手できないので同じ効果の△△錠に変更できませんか?など。
厚生労働省の発表によると全処方箋の3.5%は疑義照会されているようです。
調剤
処方箋に問題がないことを確認したら実際にお薬を用意します。
※受付から処方監査や服薬指導や記録までの一連の流れを調剤と定義することもあります。ここではわかりやすく薬の調製のみを紹介させていただきます。
錠剤なら必要な数な数をそろえ、患者様によっては服用1回分ずつパックします(一包化といいます)
粉なら一回分ずつパックします。
シロップなら投薬瓶に全量を量り、患者さんが1回ずつ図り取りやすいように量を調整(1回3.33mlですと言われても図りにくいので、1回1目盛りや1回3.5mlになるように単シロップ(砂糖水)や水道水で量を調整)します。
軟膏も2種類以上を混ぜてお渡しする指示があれば混ぜます。
薬局のお仕事ときいて一番想像しやすいところかもしれません。
服薬指導
調整されたお薬をお渡しし、患者様にお薬の使い方や注意点を説明します。
飲み忘れが多いと相談されれば飲み忘れない工夫や、飲み忘れた時の対応(1回飛ばすのか、気づいた時すぐ飲むのか)をお話しします。
副作用が心配だと相談されたら起こる頻度を説明したり、具体的な初期症状や対処法についてもお話しします。
お子様だと薬を嫌がって飲まないと相談されたら、混ぜておいしくなるもの飲むタイミングの相談に応じたり。
何か困ったことがあれば薬のこと以外でもご相談ください。
お会計
薬価(お薬の値段)は国が決めています。
また調剤報酬(処方箋を受け付け、患者様の情報を管理し、必要な説明を行ったことに対する費用)も国に決められます。
薬価は1年ごと、調剤報酬は2年ごとに改訂され、特に調剤報酬に関しては薬局によって異なることもあるので不明点があれば各薬局にお問い合わせください。
薬歴記載
疑義照会の結果や、服薬指導の内容を記録します。
この記録に基づいて次の処方監査や服薬指導を行うので大切な記録です。記録が積みあがるので、より安全な患者様に即した医療を提供できるため、病院の目の前の薬局よりもかかりつけの薬局を持つことが推奨されたりもします。
また次に来局するまでのフォローアップなどが行われることもあります。
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