



処方箋で見かける機会も多い「レルベアエリプタ」。
今回は、**“100エリプタを2吸入しても200エリプタにはなりません!”**という注意点を、4コマ漫画でクスッと描いてみました。
基本情報
レルベア小児用50、100、200の比較表
製剤名 | 有効成分含量(1吸入中) | 適応症 | 用法・用量 |
---|---|---|---|
小児用レルベア50エリプタ | ビランテロール25μg フルチカゾンフランカルボン酸エステル50μg | 気管支喘息(ICS+LABA併用が必要な場合) | 通常、5歳以上12歳未満の小児に1日1回1吸入 |
レルベア100エリプタ | ビランテロール25μg フルチカゾンフランカルボン酸エステル100μg | 気管支喘息(ICS+LABA併用が必要な場合) 慢性閉塞性肺疾患(COPD) | 通常、12歳以上の小児および成人に1日1回1吸入 |
レルベア200エリプタ | ビランテロール25μg フルチカゾンフランカルボン酸エステル200μg | 気管支喘息(ICS+LABA併用が必要な場合) | 症状に応じて、成人に1日1回1吸入(12歳以上で重症例に使用) |
禁忌(共通):有効な抗菌剤の存在しない感染症、本剤の成分に過敏症の既往
詳細解説
有効成分含量
- すべての規格でビランテロールは25μg(1吸入あたり)
- フルチカゾンフランカルボン酸エステルは、50μg・100μg・200μgの3規格
適応症
- 小児用レルベア50エリプタ:5歳以上12歳未満の小児の気管支喘息
- レルベア100エリプタ:12歳以上の小児・成人の気管支喘息、COPD
- レルベア200エリプタ:12歳以上の重症気管支喘息(COPD適応はなし)
用法・用量
- 小児用レルベア50:5歳以上12歳未満の小児に1日1回1吸入
- レルベア100:12歳以上の小児・成人に1日1回1吸入
- レルベア200:症状に応じて、12歳以上の小児・成人に1日1回1吸入(主に重症例)
- いずれも吸入ステロイド(ICS)と長時間作用型β2刺激薬(LABA)の合剤で、1日1回投与が特徴です。
- COPDへの適応はレルベア100のみです。
漫画の補足:なぜ「100×2」はNGなの?
レルベア100と200の違いはステロイド(フルチカゾン)の量だけで、
LABA(ビランテロール)は両規格とも25μgで共通です。
そのため、レルベア100を2吸入=ビランテロールが50μgに!
→ 意図しない過量投与となり、心悸亢進などのリスクが高まります。
COPDには100μg製剤しか適応がない点も、処方鑑査で見逃さないよう注意しましょう。
実務で役立つ!レルベアの小ネタ集
- カウンターは「開閉操作」で減る:カバーを開けるだけで1吸入分カウントされる。閉じても戻らない。
- 小児用50μg製剤は2024年登場!外観やパッケージの違いに注意
- 残量管理の工夫:「14吸入用」などはカレンダー併用が効果的
- ジェネリック未発売(2024年時点):薬価相談時の説明ポイントにも
他の吸入剤との使い分け・特徴比較
日本ではさまざまな吸入剤が保険適応されています。下記は主な代表薬です。
▼ICS単剤(ステロイド)
製品名 | 有効成分(1吸入あたり) | デバイス | 1日の吸入回数 | 主な違い・特徴 |
---|---|---|---|---|
アズマネックス | モメタゾンフランカルボン酸エステル100μg/200μg | ツイストヘラー(DPI) | 2回 | 粒子径小さく肺到達率高い |
アニュイティ | フルチカゾンフランカルボン酸エステル100μg/200μg | エリプタ(DPI) | 1回 | 1日1回投与、吸入手順簡便 |
オルベスコ | シクレソニド50μg/100μg/200μg | インヘラー(MDI) | 1回(800μgのときのみ2回) | 吸入時活性化型ICS、発現遅め |
キュバール | ベクロメタゾンプロピオン酸エステル50μg/100μg | エアゾール(MDI) | 2回 | 古くからあるMDI、1日2~3回 |
パルミコート | ブデソニド100μg/200μg | タービュヘイラー(DPI) | 2回 | DPI、吸入時に強く吸う必要 |
フルタイド | フルチカゾンプロピオン酸エステル50μg/100μg/200μg | ディスカス(DPI)/エアゾール(MDI) | 2回 | DPI/MDI両方あり |
▼ICS/LABA配合剤
製品名 | 有効成分(1吸入あたり) | デバイス | 1日の吸入回数 | 主な違い・特徴 |
---|---|---|---|---|
アドエア | フルチカゾンプロピオン酸エステル サルメテロールキシナホ酸塩 (100/50μg, 250/50μg, 500/50μg) (50/25μg,125/25μg,250/25μg) | ディスカス(DPI) エアゾール(MDI) | 2回 ディスカス1回1吸入 エアゾール1回2吸入 | DPI/MDI両方あり。吸入力に応じて選択可能。 |
シムビコート | ブデソニド ホルモテロールフマル酸塩 (160/4.5μgなど) | タービュヘイラー(DPI) | 2回 | 発作時追加吸入可(SMART療法)。吸入力必要。 |
フルティフォーム | フルチカゾンプロピオン酸エステル ホルモテロールフマル酸塩水和物 (50/5μg, 125/5μg) | エアゾール(MDI) | 2回 1回2吸入 | MDIで吸入力弱い人にも適応。粒子径小さく肺到達率高い。 |
レルベア | フルチカゾンフランカルボン酸エステル ビランテロールトリフェナート (50/25μg.100/25μg, 200/25μg) | エリプタ(DPI) | 1回 | 1日1回投与。操作簡便。吸入力必要。 |
アテキュラ | モメタゾンフランカルボン酸エステル インダカテロールマレイン酸塩 (80/150μg、160/150μg、320/150μg) | ブリーズヘラー(DPI) | 1回 | 1日1回投与。ICS/LABA合剤。吸入力必要。COPD適応あり。 |
▼LAMA単剤
製品名 | 有効成分(1吸入あたり) | デバイス | 1日の吸入回数 | 主な違い・特徴 |
---|---|---|---|---|
スピリーバ | チオトロピウム臭化物 (18μg/カプセル or 2.5μg/1吸入、1.25μg/1吸入) | ハンディヘラー(DPI) レスピマット(SMI) | 1回 | DPI/SMI両方あり。カプセルタイプは1回ごと装填。レスピマットは液体ミストで吸入力不要。 |
シーブリ | グリコピロニウム臭化物 50μg/カプセル | ブリーズヘラー(DPI) | 1回 | カプセルタイプ。吸入力必要。効果発現が速い。1回ごとカプセル装填。 |
エクリラ | アクリジニウム臭化物 400μg/1吸入 | ジェヌエア(DPI) | 2回 | 1日2回。新型デバイスで残量・吸入確認がしやすい。 |
エンクラッセ | ウメクリジニウム臭化物 62.5μg/1吸入 | エリプタ(DPI) | 1回 | 1日1回。操作簡便。 |
▼LAMA/LABA配合剤
製品名 | 有効成分(1吸入あたり) | デバイス | 1日の吸入回数 | 主な違い・特徴 |
---|---|---|---|---|
アノーロ | ウメクリジニウム62.5μg ビランテロール25μg | エリプタ(DPI) | 1回 | 1日1回。吸入力必要 |
スピオルト | チオトロピウム2.5μg オロダテロール2.5μg | レスピマット(SMI) | 1回(1回2吸入) | 1日1回。SMIで吸入力不要。 |
ウルティブロ | グリコピロニウム50μg インダカテロール110μg | ブリーズヘラー(DPI) | 1回 | 1日1回。カプセル型DPI。吸入力必要。 |
ビベスピ | グリコピロニウム7.2μg ホルモテロール4.8μg | エアロスフィア(pMDI) | 2回(1回2吸入) | 1日2回。pMDIで吸入力不要。 |
▼3成分配合剤
製品名 | 有効成分(1吸入あたり) | デバイス | 1日の吸入回数 | 主な違い・特徴 |
---|---|---|---|---|
テリルジー | フルチカゾンフランカルボン酸エステル ウメクリジニウム臭化物 ビランテロールトリフェニル酢酸塩 (100/62.5/25、200/62.5/25) | エリプタ(DPI) | 1回(1日1吸入) | 1日1回。COPDと気管支喘息の両方に適応。吸入力必要。 |
ビレーズトリ | ブデソニド グリコピロニウム臭化物 ホルモテロールフマル酸塩 (160/9/5) | エアロスフィア(pMDI) | 2回(1回2吸入、1日2回) | 1日2回。COPDのみ適応。pMDIで吸入力不要。 |
エナジア | モメタゾンフランカルボン酸エステル インダカテロールマレイン酸塩 グリコピロニウム臭化物 (80/150/50、160/150/50) | インヘラー(DPI, カプセル型) | 1回(1日1カプセル吸入) | 1日1回。気管支喘息のみ。カプセル型DPIで吸入力必要。 |

最後にひとこと
吸入剤は成分だけでなくデバイスや投与回数の違いも多く、調剤時の鑑査や患者指導で混乱しやすい薬剤群です。
今回のように「見た目や数字が似ていても、2回吸えばOKではない」ケースは、しっかり患者さんにも伝えましょう!
次回も、調剤薬局で役立つ“クスッと学べる”ネタをお届けします!
免責事項
本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断や治療を推奨するものではありません。
実際の診療にあたっては、必ず医師や薬剤師等の専門家にご相談いただき、最新の添付文書等をご確認ください。
記事中で取り上げている薬剤情報は、信頼できる資料に基づいて正確に記載していますが、
漫画内の会話やエピソードはフィクションであり、実際の医療現場の状況とは異なる場合があります。
本記事の内容に基づく自己判断による治療や投薬等によって生じた損害について、当サイトは一切の責任を負いかねます。
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