



【eGFRだけで安心してない?】CcrとeGFRの違いに要注意!
今回は腎機能評価に関する4コマ漫画をご紹介しました。
eGFRしか見ていなかった新人薬剤師が、Ccrで再評価したら使用禁忌のレベルだった…という、調剤現場でも起こりうる“あるある”なエピソードです。
■ CcrとeGFRって何が違うの?
項目 | eGFR | Ccr(Cockcroft-Gault式) |
---|---|---|
単位 | mL/min/1.73㎡ | mL/min(実測値) |
体格の補正 | 標準体表面積(1.73㎡)に補正済み | 実測体重で計算(体格を反映) |
主な用途 | CKD分類、腎機能の経時評価 | 腎排泄型薬の投与設計 |
添付文書での採用 | 一部(SGLT2阻害薬など) | 多くの薬で依然主流 |
つまり:同じ“腎機能”の評価でも、用途や出力される値が違う「物差し」なんです。
■ 実務でありがちな落とし穴
高齢者や低体重患者では、筋肉量が少なく血清クレアチニンが低く出がち。
このとき、eGFRでは腎機能が良好に見えても、実際の排泄能力(Ccr)はかなり低いというケースがあります。
今回の漫画のように、
- eGFRは55でOKだと思っていた
- でもCcrで計算したら38 → 添付文書では「禁忌」!
という展開は、決して絵空事ではありません。
■ 添付文書は「どっちの指標か」がカギ!
処方設計で最も重要なのは、添付文書やインタビューフォームに明記された腎機能指標に従うことです。
例:
- eGFRを使用する薬剤:メトホルミン、SGLT2阻害薬など
- Ccrを使用する薬剤:多くの抗菌薬(レボフロキサシンなど)、抗悪性腫瘍薬 ほか多数
eGFRしかラボ値が出ない施設では、体表面積を使って補正を外す、またはCockcroft-Gault式でCcrを算出するなどの工夫が必要です。
■ ちなみにこの患者データなら…
項目 | 値 |
---|---|
年齢 | 78歳 |
性別 | 女性 |
体重 | 42kg |
血清クレアチニン | 0.8 mg/dL |
→ eGFR:約52.4
→ Ccr:約38.4(使用禁忌レベルの薬も存在)
例)セララを高血圧に使用する場合など。
禁忌レベルでなくても用量調整が必要な薬剤は多数でてきますね。
■ 現場で役立つ補足ネタ
- eGFRを実際の腎排泄能に換算するには:
→ eGFR ×(実測BSA ÷ 1.73)を使うと良い - Cockcroft-Gault式の体重は、肥満時は調整体重を使うこともある
- 添付文書に記載されている単位(mL/min か mL/min/1.73㎡)にも要注意!
■ 結びに
今回の漫画でも描いたように、
「物差しが違えば、測れる長さも変わる」
eGFRとCcrは似て非なる指標。
調剤判断には“その薬が求めている物差し”を正しく選びましょう。
■ 免責事項
本記事は、一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断や治療を推奨するものではありません。
記事中で取り上げている薬剤情報は、信頼できる資料に基づいて正確に記載していますが、漫画内の会話やエピソードはフィクションであり、実際の医療現場の状況とは異なる場合があります。
実際の診療にあたっては、必ず医師や薬剤師等の専門家にご相談いただき、最新の添付文書等をご確認ください。
本記事の内容に基づく自己判断による治療や投薬等によって生じた損害について、当サイトは一切の責任を負いかねます。
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