



🧬スタチンの作用機序を4コマで解説!〜コレステロール合成を止めろ〜
今回は、スタチンの作用機序をテーマにした4コマ漫画「スタチンの大活躍」をご紹介します。
スタチンは高コレステロール血症治療薬として長く使われていますが、なぜ効くのか、どこに作用するのかを理解することで、服薬指導の説得力がグッと増します。
🔬スタチンの作用機序とは?
スタチンは肝臓でコレステロール合成に関与する「HMG-CoA還元酵素」を阻害します。
この酵素がアセチルCoAからコレステロール前駆体であるメバロン酸を作るのをブロックすることで、肝細胞内のコレステロール合成を抑制します。
その結果、肝臓は「血中のLDLコレステロールを回収しよう」としてLDL受容体(レセプター)を増やすという補償反応が起こり、血中LDL値が下がるのです。
4コマで描いた流れは以下の通りです:
- 肝細胞でコレステロール工場がフル稼働中
- スタチンがHMG-CoA還元酵素を阻害
- コレステロール合成が減少 → LDLレセプターが増加
- 血中LDLが減って、血管がスッキリ!
💊スタチンの分類
スタチン系薬剤は、LDLコレステロールをどれくらい下げられるかによって大きく2つに分類されます。
分類 | LDL-C低下率の目安 | 代表薬剤 |
---|---|---|
ストロングスタチン | 約40%以上の低下 | アトルバスタチン(リピトール)、ロスバスタチン(クレストール)、ピタバスタチン(リバロ) |
スタンダードスタチン | 約30%前後の低下 | プラバスタチン(メバロチン)、フルバスタチン(ローコール)、シンバスタチン(リポバス) |
💡なぜ分類が重要?
- ストロングスタチンは心血管疾患の二次予防や、より強力なLDL低下が求められる患者に適応されます。
- スタンダードスタチンは副作用リスクが比較的低いため、高齢者や軽度の脂質異常症に選ばれることがあります。
⏰服用タイミングにも違いが!
一方、ストロングスタチンは半減期が長いため、いつ服用してもOKとされており、服薬コンプライアンスが向上します。
スタンダードスタチンは半減期が短い(約2~3時間)ため、夜間(肝でのコレステロール合成が活発な時間)に服用するのが基本です。
成分名 | 商品名 | 通常用量(成人) | 禁忌事項(代表例) | 作用強度分類 | 発売年 |
---|---|---|---|---|---|
プラバスタチン | メバロチン | 10~20mg 1日1回または2回に分けて 夕食後推奨 | 妊婦・授乳婦 | スタンダード | 1989年 |
シンバスタチン | リポバス | 5~20mg 1日1回 夕食後推奨 | 重篤な肝障害、妊婦・授乳婦、併用禁忌あり※1 | スタンダード | 1994年 |
フルバスタチン | ローコール | 20~60mg 1日1回 夕食後 | 重篤な肝障害、妊婦・授乳婦 | スタンダード | 1997年 |
アトルバスタチン | リピトール | 10~20mg 1日1回(家族性40㎎まで) | 活動性肝疾患、妊婦・授乳婦、併用禁忌あり※2 | ストロング | 2000年 |
ピタバスタチン | リバロ | 1~4mg 1日1回 | 肝障害胆道閉塞、妊婦・授乳婦、シクロスポリン | ストロング | 2003年 |
ロスバスタチン | クレストール | 2.5~20mg 1日1回 | 活動性肝疾患、妊婦・授乳婦、シクロスポリン | ストロング | 2005年 |
※禁忌に本剤の成分に過敏症の既往はすべて共通 |
※1 イトラコナゾール、ミコナゾール、ポサコナゾール、アタザナビル、サキナビル、コビシスタット |
※2グレカプレビル・ピブレンタスビル |
🧠服薬指導のワンポイント
- 「スタチン=肝臓の酵素をブロックして、血中のLDLを減らす薬」と説明すると伝わりやすい
- グレープフルーツとの併用注意(特にCYP3A4経由のスタチン)や、筋肉痛などの副作用にも注意
- 高齢者では多剤併用・腎機能の確認も忘れずに!
📝まとめ
スタチンの基本的な作用機序を理解しておくと、服薬指導や薬剤選択の際に役立ちます。
特に、「どうして血中コレステロールが減るのか?」を視覚的に説明できると、患者さんの納得度が高まりますよ!
本記事は、一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断や治療を推奨するものではありません。
記事中で取り上げている薬剤情報は、信頼できる資料に基づいて正確に記載していますが、
漫画内の会話やエピソードはフィクションであり、実際の医療現場の状況とは異なる場合があります。
実際の診療にあたっては、必ず医師や薬剤師等の専門家にご相談いただき、最新の添付文書等をご確認ください。
本記事の内容に基づく自己判断による治療や投薬等によって生じた損害について、当サイトは一切の責任を負いかねます。
コメント