



今回はジスロマック錠の紹介です
「3日間しか飲まない抗生剤って、本当に効くの?」
患者さんからよく聞かれる疑問に、薬剤師がまさかの「にんにくの匂い」たとえでお答えする、そんな4コマ漫画が今回のテーマです。
服薬コンプライアンスのよさで知られるジスロマック(一般名:アジスロマイシン)。今回はその特徴と実務での注意点を、マンガと一緒に振り返ります。
基本情報まとめ(成人・錠剤)
- 一般名:アジスロマイシン水和物
- 製品名:ジスロマック錠250mg
- 薬効分類:マクロライド系抗菌薬(14員環)
- 禁忌:本剤の成分に対し過敏症の既往
- 適応症:
咽頭炎、扁桃炎、肺炎、慢性気管支炎、皮膚感染症、尿道炎、子宮頸管炎 など - 用法・用量:
通常、1日1回500mgを3日間経口投与(合計1500mg)
尿道円、子宮頸管炎には1000mgを1回経口投与
骨盤内炎症性疾患にはアジスロマイシン注射剤による治療後250mgを1日1回

マクロライド系抗生物質は、
細菌のリボソームの50Sサブユニットに結合し、
タンパク質合成を阻害することで抗菌作用を発揮します。
漫画のポイント補足
ジスロマックは「3日で飲みきりなのに、7日以上効く」と言われるユニークな抗生剤。
その理由は――
- 組織移行性が非常に高く、特に肺・扁桃・皮膚などの感染部位に薬が長くとどまる
- 血中半減期は約68時間、組織内ではさらに長く持続(7〜10日)
- 「あとからじわじわ効いてくる」ため、服用後しばらくしてから効果が最大化する
このため、患者さんには「薬はもう飲み終わったけど、効果はまだ続いていますよ」と伝えることが大切です。
実務での注意点と工夫
- 「3日分でOK」という服薬指導が誤解されやすい
→「少なくても効く薬」ではなく「長く効く薬」と説明するのがポイント。。 - 副作用:消化器症状(下痢、腹痛)が比較的多い。苦味はクラリスより少なめ。
- 抗菌スペクトル:クラミジア、肺炎マイコプラズマ、インフルエンザ菌、レジオネラ等に有効。
※2025年百日咳の流行で出番が増えている印象があります。百日咳については前回の記事をご覧ください。ただし最近ではマクロライド耐性百日咳も増えているようです。その場合はST合剤が選択肢になりますね。
他剤との違い:比較の視点
項目 | ジスロマック | クラリス/クラリシッド | エリスロシン |
---|---|---|---|
成分名 | アジスロマイシン | クラリスロマイシン | エリスロマイシン |
飲み方 | 1日1回 | 1日2回 | 1日4~6回 |
組織内濃度 | 非常に高い | 中等度 | 低め |
相互作用 | 少なめ(CYP弱) | 多い(CYP3A4阻害) | やや多い(CYP3A4) |
まとめ:実は“しぶとく効く”アジスロマイシン
にんにくの匂いが冷蔵庫に残るように――
アジスロマイシンも、体の中に長くとどまって効き続けます。服薬日数が短いことに不安を持つ患者さんにこそ、薬剤師の丁寧な説明が必要です。
「量が少ない=効きが弱い」ではないことを、上手に伝えていきましょう。
※免責事項
本記事は、一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断や治療を推奨するものではありません。
記事中で取り上げている薬剤情報は、信頼できる資料に基づいて正確に記載していますが、漫画内の会話やエピソードはフィクションであり、実際の医療現場の状況とは異なる場合があります。
実際の診療にあたっては、必ず医師や薬剤師等の専門家にご相談いただき、最新の添付文書等をご確認ください。
本記事の内容に基づく自己判断による治療や投薬等によって生じた損害について、当サイトは一切の責任を負いかねます。
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