イナビルの吸入方法を4コマで解説|2026年度から吸入薬指導加算の対象に

イナビルでも吸入指導加算が取れるように!? 吸入手技確認 おくすり小ネタ漫画

2026年度の診療報酬改定で、インフルエンザ患者さんへの吸入薬指導も「吸入薬指導加算」の対象になりました。イナビルは単回投与のお薬ですが、容器の操作には意外な落とし穴も。今回は、加算の要件と吸入手技を4コマでおさらいします。

4コマ

1コマ目。加算の対象拡大をきっかけにイナビルの吸入手技をおさらい。
2コマ目。スライド前に薬が見えないことに驚く新人くん。
3コマ目。スライド後に叩いて薬をこぼしてしまう。
4コマ目。トントンはスライド前。吸い残し防止のため同じ手順を繰り返す。

※漫画内の「吸入指導加算」の正式名称は「吸入薬指導加算」です。算定には、看視下での吸入のほか、同意や医療機関への情報提供などの要件があります。容器のイラストはイメージです。

基本情報

この記事で扱うのは、イナビル吸入粉末剤20mgです。

項目内容
一般名ラニナミビルオクタン酸エステル水和物
分類長時間作用型ノイラミニダーゼ阻害剤
適応A型・B型インフルエンザウイルス感染症の治療と予防
1容器の含量ラニナミビルオクタン酸エステルとして20mg。薬剤は2か所に充填
投与経路口から吸入
禁忌本剤の成分に対する過敏症の既往歴がある患者

治療の用量:10歳が境目

対象治療時の用量使用する容器
10歳未満の小児20mgを単回吸入1容器(薬剤2か所)
成人・10歳以上の小児40mgを単回吸入2容器(薬剤は計4か所)

「単回吸入投与」は、吸う動作を1回だけ行うという意味ではありません。処方された容器内の薬を、手順に沿って吸入します。小児では、適切に吸入できるかの確認も必要です。PMDA電子添文

漫画で記載したことの補足

① 2026年度から、インフルエンザの吸入薬も加算の対象に

2026年6月1日施行の改定で、従来の喘息・COPD患者さんへの指導に加え、インフルエンザ患者さんへの吸入薬指導も評価されるようになりました。

吸入薬指導加算は30点、原則6か月に1回です。 従来の「3か月に1回」から算定間隔も変わっています。厚生労働省・令和8年度診療報酬改定の概要(調剤)、施行日について

インフルエンザでは、保険薬剤師が看視する中で、患者さんに実際に吸入してもらうことが要件です。使い方を説明して渡すだけでは、この要件を満たしません。

さらに、以下も確認します。

確認すること要件のポイント
指導を行うきっかけ保険医療機関からの求め。または、患者・家族等の求めがある場合等で指導の必要性が認められ、医師の了解を得た場合
同意患者または家族等の同意を得て実施
実際の吸入インフルエンザでは保険薬剤師の看視下で吸入
医療機関への報告指導内容や吸入手技の理解度などを文書で情報提供。手帳による情報提供も可
算定間隔原則6か月に1回。他の吸入薬が処方され、必要な指導等を別に行った場合は6か月以内でも算定可

その場で吸入を確認したら終わりではなく、指導結果の情報提供まで含めて確認したい加算です。使用について疑義があれば、処方医への照会も必要です。

なお、この加算に伴う文書での情報提供について、服薬情報等提供料を重ねて算定することはできません。特別調剤基本料Aを算定する薬局が、特別な関係にある医療機関へ情報提供する場合の算定制限にも注意します。厚生労働省・調剤報酬点数表に関する事項「11 吸入薬指導加算」

② スライド前に薬が見えなくても、入っていないわけではない

2コマ目の新人くんは、容器のサイドを見て「あれ!?」となっています。

イナビルは1容器の中に薬剤が2か所入っています。メーカーの吸入方法ページにも、スライド前は薬が見えず、トレーをスライドすると見えると説明されています。

まず容器の構造を知っておくと、「見えない=空っぽ?」という戸惑いを減らせます。第一三共・イナビル吸入方法

③ トントンするのは、必ずスライド前

3コマ目で新人くんが間違えたのは、操作の順番です。

トントン → ①をスライド → 吸入 → ②をスライド → 吸入

最初に、トレーをスライドさせていない状態で容器を軽く叩き、薬を下に集めます。その後、ラベルをはがさず、矢印方向へ端までスライドさせて吸入します。

トレーをスライドさせた状態では、容器を叩かないこと。 「薬を集めるのを忘れていた!」と気づいても、その状態のままトントンしないようにしましょう。第一三共・吸入説明書

④ ①・②を吸ったら、元に戻してもう一度

4コマ目の「同じ手順を繰り返してね」は、容器内の吸い残しを減らすための操作です。メーカーの使用説明では、次の順に進みます。

手順操作
A:薬を集めるトレーをスライドさせずに、容器を軽くトントン
B:①を吸入①を端までスライドし、吸入
C:②を吸入②を端までスライドし、吸入
D:元に戻す①をスライドさせ、容器を元の状態に戻す
E:もう一度吸い残しを減らすため、同じ容器でA〜Cを繰り返す

繰り返すときも、元に戻してからトントンです。同じ容器の残った薬を吸う操作なので、投与量を追加するという意味ではありません。

成人・10歳以上の治療では2容器を使用します。上の手順どおりに繰り返すと、吸う動作は1容器で4回、2容器で計8回になります。「40mgを単回」と「吸う動作の回数」を分けて説明すると伝わりやすくなります。第一三共・吸入説明書

その他かききれなかったこと

吸入時は、持ち方と呼吸も確認

  • 容器の底にある空気孔を指でふさがない。
  • 座るなどリラックスした姿勢で、体を起こして吸入する。
  • 軽く息を吐いてから吸入口をしっかりくわえ、「スーッ」と大きく吸う。
  • 吸入後は2〜3秒息を止め、吸入口に息を吹き込まないよう、ゆっくり吐く。

力いっぱい吸い込んだり、長く息を止めたりする必要はありません。過度に強い吸入や長い息止めにより、失神やショック症状が起こる可能性があるためです。PMDA患者向医薬品ガイド

乳製品への過敏症歴、呼吸器疾患にも注意

添加剤の乳糖水和物には、夾雑物として乳蛋白が含まれます。乳製品への過敏症歴がある患者さんでアナフィラキシーの報告があるため、吸入前に確認します。

また、吸入後の気管支攣縮や呼吸機能低下にも注意が必要です。喘息・COPDなどのある患者さんでは特に留意し、息苦しさや喘鳴などがあれば速やかに医師へ連絡するよう説明します。PMDA電子添文・9.1、11

リレンザでも吸入薬指導加算は算定できる?

制度上、イナビル限定ではありません。 通知は「インフルエンザウイルス感染症に対して吸入薬を用いる患者」を対象としているため、リレンザも要件を満たせば対象になり得ます。これは通知の対象範囲に基づく整理です。吸入手技や用法・用量は、それぞれの薬剤で確認します。厚生労働省・留意事項通知

予防の用法は別に確認

成人・10歳以上の予防は、40mgを単回吸入、または20mgを1日1回、2日間吸入です。10歳未満は20mgを単回吸入します。

予防目的の使用は保険給付の対象外です。この記事の保険調剤における加算の説明とは分けて確認しましょう。予防の基本はワクチンであり、イナビルによる予防はその代わりではありません。PMDA電子添文・1、6、25

吸入が終わっても、インフルエンザの療養は続く

治療は症状が出てからできるだけ早く開始します。発症から48時間を過ぎて開始した場合の有効性を裏付けるデータは得られていません。

また、インフルエンザでは薬の種類や使用の有無にかかわらず異常行動が起こることがあります。少なくとも発熱から2日間は、転落などを防ぐ対策を保護者に説明します。PMDA電子添文・7、8

参考資料・確認日

免責事項

本記事は、一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断や治療を推奨するものではありません。

記事中で取り上げている薬剤情報は、信頼できる資料に基づいて正確に記載していますが、漫画内の会話やエピソードはフィクションであり、実際の医療現場の状況とは異なる場合があります。

実際の診療にあたっては、必ず医師や薬剤師等の専門家にご相談いただき、最新の添付文書等をご確認ください。診療報酬の算定にあたっては、最新の告示・通知・疑義解釈等をご確認ください。

本記事の内容に基づく自己判断による治療や投薬等によって生じた損害について、当サイトは一切の責任を負いかねます。

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